
胃食道逆流症
胃食道逆流症
胃酸や胃にたまった食べ物などが胃から食道へ逆流し、なんらかの症状や合併症が生じた状態を指します。食道と胃を隔てている筋肉(下部食道括約筋)がうまく機能しなかったり、本来お腹の臓器である胃が、胸のほうに持ち上がったりすること(食道裂孔ヘルニア)で、胃酸が食道へ上がりやすくなります。胃酸が食道の粘膜に炎症を起こすことで、胸やけなどの症状が出ることがあります。
食道と胃を隔てている筋肉を下部食道括約筋といいますが、その下部食道括約筋が収縮することで、胃で分泌される胃酸が食道へ逆流することを防いでいます。その逆流防止機能が低下することで胃酸が食道へ逆流することがあります。その主な原因としては、食道裂孔ヘルニアといって、腹部の臓器である胃が、胸部へ持ち上がってしまうことが挙げられます。
また、GERDをきたすの他の原因として、肥満・高齢・骨粗鬆症による猫背などでお腹の圧が高くなり、胃酸の胃酸の逆流が起きやすくなることが挙げれらます。
胸の中央部が焼けるような感覚である胸やけや、逆流した胃酸が口やのどにまで上がってくることを自覚する呑酸(どんさん)が典型的な症状です。また、咳の症状も伴うことがありますが、これは、食道へ逆流した胃酸が、食道にある迷走神経という脳神経の経路に刺激を加えるなどのために、咳が誘発されるとされています。
問診で診断することも多く、Fスケール問診票という質問票が用いられることがあります。
胸やけ、お腹の張る感じ、のどの違和感・つかえ感、胃酸の逆流、げっぷなどの症状の程度を12項目の質問を点数化することで、GERDがあるかどうかを評価します。また、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)によって食道の粘膜がダメージを受けているかどうかを確認することもあります。実は、食道の粘膜が傷ついている程度と、GERD症状は必ずしも一致するとは限らないといわれております。特に、年齢が上がるにつれてその傾向は強めるとされています。
咳の側面からの診断基準として、8週間以上続く咳嗽(慢性咳嗽)で、①胸やけ、呑酸などの食道の症状、②咳払い、声がれ(嗄声)など喉の症状、③咳が会話、食事、前のめりの姿勢などで悪化、④咳の原因となりうる薬剤の使用がないこと、さらに、気管支を広げる薬剤、吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬などのいわゆる呼吸器の薬剤が効かないこと、の4項目のうち、ひとつでも該当すれば、GERDを疑い、治療開始を検討します。その後、後述するGERDの治療薬後の経過で、咳嗽が軽快することでGERDの診断にいたります。
GERDの治療の目標は、症状のコントロールと生活の質を改善させること、合併症を予防することです。プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬の内服治療が有効です。さらに、薬剤治療以外にも、生活習慣も有効とされています。具体的には、肥満がある患者さんにおける減量、喫煙者に対する禁煙、夜間にGERD症状を有するに対する遅い夕食を避けること、寝る際に頭を高くすることです。また、手術による治療もあります。
TOP